波長のちがうふたりと、群馬の冬湯へ

混浴温泉で出会ったカップルとの一日

この日は、仲間のひとりが以前から交流のあったお二人と、みんなで混浴へ行くことになっていた。

私だけが初対面。

少し身構えていたのも正直なところだ。
波長は合うだろうか。自然に話せるだろうか。

朝、その仲間が車で迎えに来てくれて、そのままお二人をピックアップし、群馬の混浴温泉へ向かった。

男性はエネルギッシュで、場の空気をぐっと引き上げるタイプ。
一方で女性は、やわらかく、どんな会話も受け止める静かな癒しを持っていた。

対照的なふたり。

でも、そのバランスが心地よいのだろうと、車中で感じた。


混浴という空間での彼女の在り方

いつもの道の駅で仲間たちと合流し、混浴へ。

その日は女性が少なめだったが、彼女は自然にその場に溶け込んでいた。

混浴温泉という場所は、
人によっては緊張が強くなる空間でもある。

けれど彼女は、
自分の身体の置き方を知っている人のように見えた。

無理に強がるでもなく、
過剰に意識するでもなく、
ただ、その場にいる。

その静かな在り方が印象に残った。


温泉街と、お気に入りの混浴宿

湯のあとは、いつもの中華料理屋へ。
温泉のあとの汁物は、やっぱり沁みる。

そして、私たちのお気に入りの混浴宿へ向かう。

石畳の温泉街を歩きながら、
「こういう雰囲気、いいですね」と素直に言ってくれた。

何度も通っている場所だからこそ、その言葉がうれしかった。

部屋ではこたつを囲み、持ち寄ったお菓子や果物を広げる。
温泉に浸かり、身体がゆるみ、少し眠たいような、でもまだ起きていたいような曖昧な時間。

この時間が、私はいちばん好きだ。

触れ合いもあったけれど、そこに無理や緊張はなかった。
それぞれが納得のいく距離で、自然に過ごしていた。

やがて、もう一度湯へ。

事後の湯は、いつも少しだけ深く沁みる。


帰り道に聞いた、ある女性の話

帰り道、彼女と二人きりになる時間があった。

そこで聞いた話が、この日のいちばんの余韻になった。

長い時間をともにしてきた二人。

外から見れば、自由で、迷いのない関係に見えるかもしれない。
けれど実際には、どんな関係にも、その人たちにしかわからないバランスがあるのだと思った。

彼女は穏やかな声で話してくれた。

本当は、彼と二人きりで満足だということ。
でも彼には、また別の形の喜びがあること。

そこに正解も不正解もなく、
ただ、二人のあいだで続いてきた時間がある。

私はそれを「こうだ」と言い切ることはできない。

ただ感じたのは、
そこにはたしかに愛情があり、
同時に、簡単には言葉にできない複雑さもあるということだった。

誰かが外から裁けるものではない。


混浴で考えた、欲と愛のかたち

混浴温泉という場所は、
ときどき、こんな問いを連れてくる。

欲は単純ではない。

触れることだけが欲ではなく、
見られることや、誇らしさや、安心や、
いくつもの感情が混ざり合っている。

そしてそれは、
当事者にしかわからない温度で存在している。

すっかり日が落ちた駐車場で、
冬の冷たい空気を頬に受けながら、
私はそんなことを考えていた。

波長は違っても、
それぞれの在り方が共存できた一日だった。

そして私は、
欲や愛のかたちについて、
少しだけ考え続けている。

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